異国ポピュラー音楽館

非 英 語 圏 の ポ ッ プ な 音 楽 を 中 心 に 、ア ル バ ム の 感 想 な ど を 書 い た ブ ロ グ で す 。

バルカン音楽ガイド

バルカン音楽ガイド
音楽評論家、関口義人氏の著書(2003年)。

東ヨーロッパ・バルカン地方9カ国の
多様な音楽の歴史や現代のバルカン音楽シーンについて
幅広く紹介された本です。


::目次::

はじめに
 第1章 未知なるバルカンへようこそ
 第2章 スロベニア/クロアチア ― 洗練を身にまとった森と海の国
 第3章 ボスニア=ヘルツェゴビナ ― 混沌から再生、そして自立へ
 第4章 セルビア/モンテネグロ ― 民族のエネルギーが渦巻くアートの核心
 第5章 ブルガリア/マケドニア ― 南バルカンの奥深い文化的心臓部
 第6章 ルーマニア ― 伝統に彩られたフォークロアの宝庫
 第7章 アルバニア ― 「未知なるバルカン」のなかのもっとも未知なる国
 第8章 ジプシー/ロマ ― 「漂流」から「定住」へ
おわりに/バルカン・ディスク・レヴュー/索引


「バルカン」(Balkan)とは、東ヨーロッパのバルカン半島にある国々を指す地域。
ただし、ギリシャとトルコのヨーロッパ側は除き、
ルーマニア、ブルガリア、アルバニア、旧ユーゴスラヴィア(現在は6カ国に分裂)から構成されています。

また、そのバルカンには、様々な民族・宗教・文化が混在し、ヨーロッパで最も複雑な地域でもあります。

そして、90年代に起きたボスニア内戦やコソボ紛争などのテレビ報道から、
バルカンは、”ヨーロッパで最も治安の悪い地域” と言うイメージしかありませんでした・・・。
政治や紛争・民族問題関係以外のバルカンの情報が極めて少ないため、
バルカンの文化、特に音楽についての情報を知る上で、この本は貴重だと思います。


バルカン各国の音楽の歴史から、民俗音楽、フォーク、歌謡、
ロック、ポップス、使用されている楽器まで、幅広く紹介されており、
登場するアーティストの数が多過ぎて(約600組ほど紹介されてます)、名前を全ては覚えられませんが、

世界的に有名なボスニアの2大アーティスト、
ゴラン・ブレゴヴィッチ(Goran Bregović :作曲家、ロックバンド「ビエロ・ドゥグメ Bijero Dugme」元メンバー)と、
エミール・クストリッツァ(Emir Kustrica :映画監督、《カンヌ、ベネチア、ベルリン》 映画祭で受賞歴あり)についての
詳細なバイオグラフィーと比較は、とても興味深かったです。

二人とも、ジプシー(ロマ)音楽を世界に広めたことでも有名だそうですが、
ロマ人たちは「金儲けに利用された」と断言し、それはセルビア、ボスニアでは常識なんだとか。
輝かしい成功を手に入れながらも、ロマ人以外からも批判が多いそうです・・・。


バルカン各国で催されている音楽イベントについての情報もあり、

特に、セルビアのブラスバンド・コンテスト「サボール・トゥルバーチャ・グチャ」は、
セルビアの音楽やジプシーブラスを知る上で、大きな鍵となる大会だそうです。
(dailymotion に「グチャ」の動画があったので、貼っておきます)



本の終わりの方では、バルカン一帯に住んでいる
少数民族・ロマ人(ジプシー)の音楽についての紹介もされています。

ロマ人は、インド起源の音楽や芸能に長けた民族で、長い年月を要してヨーロッパへ移住。
様々な国の音楽を吸収し、そして、様々な国の音楽に影響を与えた、と言うことで
ヨーロッパの音楽シーンにおいて重要な存在です。

世界的に有名なロマ人のブラスバンド「タラフ・ドゥ・ハイドゥークス」(Taraf du Haïdouks)や
「ファンファーレ・チョカーリア」(Fanfare Ciocarlia)は、
本国ルーマニアではあまり知られていない、と言うのは意外でした。


管理人は、ここ1年ほど、バルカン諸国の音楽にハマっているのですが、
ほとんど最近のポップス/ダンスミュージックしか聴いていなかったので、
(バルカン諸国のポップ/ダンスの曲は、中東の影響を感じる曲が多いですが、一部、米英の焼き直し的な曲もあります)
この本を読んで、知られざるバルカン諸国の様々な音楽についての知識を得ることができました。

そういえば、ロマ人の音楽からも影響を受けたと言う歌謡曲、
ルーマニアの「マネーレ」(Manele)やブルガリアの「チャルガ」(Чалга)については、一切、書かれてありませんでした・・・。
英語版 Wikipedia には、ちゃんと紹介されていますが・・・現地では、そんなにマイナーな音楽なのでしょうか??

ちなみに、バルカン諸国の音楽で、(外国での)認知度が高いのは、ロマ人の音楽だと思います。
管理人も、これから聴いてみようと思います。


著者の関口氏は、先日、東京で、「クロアチア音楽」の御話をされたそうです。
(詳細は、ETHNOMANIA さんのブログより)

次回は、「アルバニア音楽」の御話が聴きたいです。

・・・と言っても、管理人は地方在住なので、東京へはよう行きまへんが。
関西にも、トークイベントで来てくださらないのでしょうか。

|Top|

コメント

業務連絡

和製クレズマー/ジプシーの「フレイレフ・ジャンボリー」に一時期はまっていたのですが、ここ数年ライブに行かなくなりました。。。

例の件ですが、明日(13日)にしましょう。19:30、プランテーション待ち合わせは可能でしょうか?

急ぎなので、会社からの連絡です。メールにも連絡させてもらいます。

NAKA-037 さんへ

了解。

バルカンミュージック

バルカンの音楽は面白いですね。大分前から、ブルガリアのチャルガやルーマニアのマネーレを聴いてましたが、誰も関心を持ってないようだしなんて考えていました。知り合いのルーマニア人に聞いてみるとルーマニア人、特に大学以上の学歴のある人は殆どマネーレを嫌います。知性的でないという理由です。テーマが金と女と復讐くらいしかないからだそうです。果たして単純に区別できるのかなあと疑問です。チャルガは心地いいメロディーをもっています。特に今おすすめはタニヤ・ボイエヴァ。なんか憧れますね。

aurele さん、はじめまして。 管理人の kisara です。

>ルーマニア人、特に大学以上の学歴のある人は殆どマネーレを嫌います。知性的でないという理由です。
>テーマが金と女と復讐くらいしかないからだそうです。
なるほど。 それにしても、テーマが「金と女(男)と復讐」って・・・昼ドラじゃあるまいし。 (笑)
あと、”知性的でないという理由” なら、ヒップホップも同じではないかと思うんですが。

それから、昔のネット友達(今はもう疎遠になってしまいました)で、ルーマニア人と結婚された方が居ましたが、
その方が、ルーマニア人の妻にロマ人の話をしたら、急に顔色を変えて不快な態度を取られたと、教えてくださったことがありましたよ。

チャルガの歌手・・・タニヤ・ボイエヴァですか、覚えておきます。

Balkan Music

はじめまして!関口と申します。
凄いblogですね。ethnomaniaさんから辿り着きました。
関西にお住まいでしょうか?
最近は京都で1ヶ月おきにジプシーの映像を見て頂くイベント
@京都メトロでやっています。次回は8/17でギリシャ特集です。
ご都合があうようでしたら是非いらっしゃって下さい。

関口さん、はじめまして。管理人の kisara と申します。
自分は兵庫県在住です。
京都でイベントをされていたとは、知りませんでした。
都合が付けば、足を運んでみようと思います。

チャルガはすばらしいのに・・・

チャルガ、マネレは載っていないのですね・・残念です。
さて、私がブルガリアを訪ねたときは、チャルガ歌手のポスターも街中でとても目立っていたし、Payner、Araなどのチャルガを扱っているレーベルのTVチャンネルも充実していまして、実感としてはとてもマイナーとはいえない感じでした。実際、ブルガリアでは音楽のジャンル別ファン人口は最も多いそうです。
しかし、上のほうでaureleさんがおっしゃっているのと同様に、チャルガは「頭の悪い人たちの音楽」というレッテルを貼られ、一部では激しく嫌われているそうです( plaza.rakuten.co.jp/charuga ここの管理人さんからの情報です)。そのため音楽雑誌にはチャルガは登場しないし、チャートにも載らないという奇妙な「住み分け」がなされているそうです。
音楽の好き嫌いなんて人それぞれなのに、こんなにもムキにならなくてもいいのに・・・って思いますが。どうしても許せない人たちがいるんでしょうね。
もちろん私はチャルガは大好きですよ。PreslavaやRaina、Aneliaが特にお気に入りです。

マネレが嫌いなルーマニア人、チャルガが嫌いなブルガリア人。
その背景には、やはり、露骨な人種差別があるのでしょうね。
マネレの歌手も、チャルガの歌手も、ロマ人が多いらしいですし。

>そのため音楽雑誌にはチャルガは登場しないし、
>チャートにも載らないという奇妙な「住み分け」がなされている
ならば、ロマ人のブラスバンドも、ルーマニアやブルガリアの音楽雑誌からは一切排除されてるかもしれないですよね。
それに、ブルガリアのチャートに載る音楽って、一体、どんなものなのか、気になります。
どうせ、西側の猿真似的な音楽ばかりのような気がしますが・・・。

チャルガとブルガリア

>マネレが嫌いなルーマニア人、チャルガが嫌いなブルガリア人。
>その背景には、やはり、露骨な人種差別があるのでしょうね。

確かにありそうですね。特にOrk. KristalやReyhanのようなジプシー色を前面に出したアーティストのクリップをYoutubeでみると、時々ですが、明らかに人種憎悪的な書き込みが見られます。悲しいことですが。
ジプシー的なもの、オリエンタル的なもの、トルコ的なものに対して嫌悪感を持つ人たちがチャルガに対して過剰反応している感はありますね。

「猿真似」に関しては暖かく見守るのがいいでしょうね。チャルガが「ポップフォーク」としてブルガリアじゅうを席巻するメジャー音楽になるまでの過程には、セルビアやギリシャをひたすら猿真似しながら発達した経緯もありますし。
そのうち、ブルガリア発の「西側」的な音楽にも、注目に値するようなものが増えてくるかもしれません。

確かに、音楽は、他人や外国の「猿真似」から始まりますが、いつまで経っても他所の真似事レベルではどうかなと思います。
やはり、それぞれの歌手・ミュージシャンの個性が出ているものでないと、あまり聴く気がしないですよね。

あと、バルカン諸国の「西側」的な音楽と言えば、クロアチアやマケドニアのポップスですね。
特に、マケドニアのポップスは、歌手の歌唱力も凄いし、楽曲の質も高くて、充分注目に値すると思います。
先進国の売れ線狙いなだけのアイドル・ポップスなんかよりもずっと良いですよ。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://hamehcheez.blog47.fc2.com/tb.php/492-1f86246f

Top

HOME

Author : kisara
トルコの男性歌手、タルカンの「Chu! Chu! は恋の合言葉」(Sımarıkと言う曲を聴いて、大きなカルチャーショックを受けたのがきっかけで、英語以外の外国語曲に興味を持つようになりました。